2013年01月31日

古都プナカのゾン(城)を訪ねて

ブータンGNHツアー2012・春 報告集より>
プナカ・ゾン(文責:望月鈴子)

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プナカはブータンが建国した当時の都で、そこにあるゾン(お城)はとても大きく立派なものでした。

5代目国王が去年、結婚式をあげたことでも有名なゾンです。

外からみるとプナカゾンと下に流れる大きな川ですごく威圧感がある大きさです。

まずは、私の地元にある厳島神社のような素敵な橋を渡って(広島に帰ってこの橋の写真を家族や友人に見せると、必ず「厳島神社みたい」と言います。)ゾンの敷地の中に入ると、ゾンの敷地広さと大きさがよくわかります。

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ゾンの入り口には3つにわかれた階段があり、権力争いにならないための面白いエピソードが聞けます。

この階段を上がった後は、警備員によるチェックがあります。結構厳しい感じです。

入ってすぐに左側に大きな金色のマニ車。
そして美しい壁画があり、素敵なストーリーに感激しました。像と猿とうさぎと鳥のお話は本当に素敵です。

中では、ゾンで名前をつけてもらった赤ちゃんに出会ったり、ブッダが悟りを開いたとされている木と同じ種の木に神秘を感じたり、心が落ち着く感じがしました。

またここにはお昼にお話を聞かせていただいた、プナカ県知事のオフィスもありました。
建物は細かい細工がそこら中にされていて、色も綺麗でした。
わたしが好きなスノーライオンという幸運の神がたくさんいます。

細工一つ一つに意味があるみたいなので、気になったらガイドさんに聞いていました。また黄金の扉もあってすごくきらびやかでした。

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仏像がある建物にはいると撮影禁止で写真がないため、どれだけすごいのか伝わりにくいですが、ブッタ、グルリンポチェ、ブータンの建国の父・シャプドゥンの巨大な仏像が三体並んでいて、その迫力に圧倒されます。壁や天井の細工も細かく、見入ってしまいます。ここでは、10分間の瞑想の時間を取っていただき、個々人で好きな場所に腰をおろして瞑想しました。私は、今回の旅で感じたことを振り返りました。

修行僧がバター飴で綺麗な細工のお供え物を作っていたり、舞の練習をしていたり、とても興味深い光景でした。僧の人にもお話が聞けばよかったと後悔です。

また行きたいと思う素敵なゾンでした。


◆現在、ブータンGNHツアー・春、募集中!今回もプナカ・ゾンにも訪問します◆

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2013年01月25日

GNH委員会メンバーへのインタビュー

ブータンGNHツアー2012・春 報告集より>
GNH委員会へのインタビュー(田中太郎)

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GNH委員会メンバー(ツェンチョウさん)へのインタビュー
この日は、このGNHツアーの濃密さを象徴するような1日であった。

深夜2:30にバンコクのホテルを出発した我々は、早朝にブータンに入国しぺマさんらとご対面。最古の寺院キチュラカン訪問。民族衣装店で衣装購入。街を散策してショッピング。ブータン初日ということで、ブータンでの初食事や初トイレなど見るもの触れるものすべて初づくしで新鮮。

そんな充実した1日の最後にさらなるイベントとして待っていたのがこのインタビューであった。
インタビューとあるが実際は会議室を貸し切り、スライドショーを用いたプレゼンテーションはまさしく学術講演であった。それまでの行程で正直やや疲労ぎみであった私もこの貴重な講演を前にして一気に目が覚めた。


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GNH(Gross National Happiness)とは1972年に第4代国王ジグミ・シンゲ・ワンチュクが提唱。
以下4本柱(4pillars)をスローガンとしている。



@持続可能な社会経済開発 -Promotion of sustainable development-
A環境保護 -Conservation of the natural environment-
B伝統文化の振興 -Preservation and promotion of culturalvalues
C優れた統治力 -Establishment of good governance-


2008年にはブータン初の総選挙が施行され議会が開会。GNH委員会が創設されGNHの指標づくりや数値化や具体化が行われるようになった。
首相がGNH委員会と10省庁を率いるという構成になっている。

GNH指数(Index)は以下9領域(9domains=9bowls=9つの器)とさらなる33指標(indicatiors)に分けられている。



(1)心理的幸福 -Psychological Wellbeing -
  Spiritualty精神的に支えられているか。生活の満足。meditation(瞑想)。
(2)時間の使い方とバランス -Time Use and Balance-
  1日の配分は仕事が8時間、余暇leisureが7.5時間、休息睡眠が8.5時間
(3)文化の多様性弾力性 -Cultural Diversity and Resilience-
  母国語ゾンカ語の継承、文化的参加、芸術的技術、老人年上を敬う
(4)地域の活力 -Community Vitality-
  物資的豊かさとは相反する。地域のつながり。家族を大切にすること。
(5)環境の多様性弾力性 -Ecological Diversity and Resilience -
(6)良い統治 -Good Governance-
(7)健康 -Health-
(8)教育 -Education-
(9)生活水準 -Living Standard-


これら指数指標を基としてGNHの実態調査が2年ごとに施行され、GNHがより良い方向へ向かっているかどうかを評価・分析する仕組みとなっている。
実態調査はGNH-PST(Policy Screening Tool政策スクリーニングツール)が用いられ点数化できるようになっている。
GNH-PSTの役目は政策や計画をGNHのレンズを通して各領域を系統的に評価して、政策や計画がGNHの観点に合致しているか否かを選別することである。評価は政策提案側である経済省MoEA(Ministry of Economic Affairs)とGNH委員会がそれぞれ独立して施行し、結果を比較するというダブルチェック体制となっている。

2010年の調査では、(7)(3)(9)は良好。(8)(1)(4)はうまくいっていないと懸念された。
2010年の結果を受けての改訂例としては中学高校教育の中に瞑想時間を設けたり、GNHセンターを創設して瞑想訓練を行う試みなどがなされている。
刑務所でも受刑者に対して瞑想訓練が行われその更生に効果があるとのこと。

結論として『GNHは循環しながらより良い方向へ向かう』ということ。

包括的なGNH指標(ものさし)を用いた評価が行われ進むべき道を示すコンパスとなる。
GNH指標を用いた評価の結果を受けて資源分配方法や優先すべき政策が選定される。
その分配資源や政策は国民1人1人や地域や社会全体に影響を与えその影響は再びGNHindexに反映される。

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さて私自身の感想。
日本のようにGDPを指標として経済政策が立てられ、国民ひとりひとりの幸せまでは考慮されていない国との違いを痛切に感じた。また統治者がこれだけ国民の幸せを念頭に置いて働いているのに感銘を受けた。
統治側につくとその地位権限を悪用して私利私欲を肥やそうとする悪徳施政者が少なくない気がするが、ブータンではそのような発想の施政者は少なそうであった。
その違いはどこからくるのだろうか?私なりに考えるとブータン仏教信仰や日頃からの瞑想習慣の存在が大きいと感じた。ツェンチョウさんにもその点を尋ねてみると、ブータン仏教や瞑想の影響は確かにあるがそれらだけの影響ではないとのことであった。

GNHはけっして完成されたものではなく常に進展しているものであった。地方の過疎化や少子高齢化など今後ブータンでも生じるであろう諸問題に対しどのように対応していくのか興味深く見守りたい。
今回のこのような貴重な講演が組まれていることこそが、今ツアーが一般旅行会社のツアーと異なる決定的な要素であると思う。濃密なプログラム全体の中でもひときわ際立って印象に残る時間であった。夕食後には有志による意見交換会をできたこともとてもよかった。
なお記憶と記録と資料のみを基にして作成したので他のメンバーからの質問事項など網羅できなかった部分がある点をご容赦頂きたい。

我々が受講したのとほぼ同内容のPDFがWeb上で見つかるので、2つ記載しておく。

"Expert Group Meeting on Assessing the Integration of the MDGs in National Development Strategies ,Plans and Programmes"(5.6Mb)

"Operationalizing Gross National Happiness"(2.3Mb)

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posted by GNH at 18:21| Comment(295) | GNHツアー

2013年01月21日

ブータンでのショッピング

ブータンGNHツアー2012・春 報告集より>
ブータンでのショッピング(小村真理子)

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ブータンの旅で買い物にまつわる印象的な出来事がありました。それはブータンの民族衣装を着る時に使うブローチを買いに行った時の出来事です。

 ツアーでわたしたちが購入したキラは上下わかれていて、胸の前をピンやブローチで留めていたのですが、わたしたちがキラを購入したお店はブローチではなくバッチをサービスでつけてくれていました。わたしはキラを着ている女性がブローチをつけているのを街中で見かけて素敵だなぁと思っていたので、やっぱりブローチがほしい!と合間の自由時間にホテルのすぐ近くの店舗をさがしてみることにしました。

 いくつかあるお店をのぞいてみると、キラやその他の装飾品を扱っているお店をすぐ見つけることができました。店の中には年頃の女性が数人、わきあいあいと店番をしていて、わたしがブローチを探していることがわかると、金や銀色の細かい細工のブローチを快く見せてくれ目的のブローチはすぐ手に入れることができました。ホクホク気分で店を後にしようと歩きはじめると、 慌てた様子でお店の女性たちがわたしの手をひっぱりにきました。店の中ほどまで連れていかれて、なんだろうと思いながらされるがままにしていると、あれよあれよというまにスカートがほどかれ、着付けなおしがはじまりました。

 そこで、(あぁ、わたしの着付けがまずかったんだ‥)とやっと状況を理解することができました。わたしは、ホテルのスタッフに頼むこともせず、自力で着て外を出歩いていたので、本来の着方とちがっていてプリーツが入るべきところにはいっていず、見るに見かねてそれで外にでちゃ笑われるよと直してくれたようでした。着付け直しが終わると女性たちは、「これで完璧!」「キュートになったよ♪」と言葉をかけてくれて、とってもうれしい気持ちになりました。せっかくなのでと記念撮影をお願いして、一緒に撮った写真がこれです。

 日本のお店は店員のサービスや作法がマニュアル化されて、教育も厳しく徹底されているけれど、ブータンではそんなマニュアル化されたサービスとはちがう、等身大の親切やまごころみたいなものが感じられてこころがあったかくなりました。店員だから、お客だからっていう垣根をこえて人としてコミュニケーションすることの心地よさがありました。

 ほかにも買い物では、ホテルのみやげもの屋さんがもう営業を終えていたのに、少し見せてほしいとお願いすると店をあけてくれたり、人間味のある対応をしていただいてとても助かりました。ブータンのそんなちょっとゆるくてあったかいところは変わらず残していってほしいなぁと思いました。


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posted by GNH at 15:59| Comment(3) | GNHツアー