Q.結婚は何歳ぐらいでしますか?
A.ペマ兄:政府は18歳以降に結婚するように言っていますが女性は15、16歳で結婚します。男性は18、19歳位です

Q.結婚式はするのですか?
A.ペマ兄:私の場合妻の親戚などに合計3頭の豚を用意してプレゼントしました。そこにみんなが集まってきて宴会をします。今は大げさなことはしません。
ブータンでは身分制度があり誰とでも結婚できるわけではありません。同じ身分の人と結婚をします。最近になり下の身分の人たちはあいまいになっていますが上の身分の人は上の身分の人を探します。
辻:ペマ家は名家です。ひいおじいさんは歴史に残るくらいのブータンでは有名な人です。だからこそそれは守らなければいけません。誰とでも結婚できるわけではありません。身分の低い人と結婚しようと言ったら両親は家に入れてくれません。ソナムの結婚相手は西側の人です。それでも結婚するときは彼女の両親のところに行って家がどういうところか確認しました。
Q.夜這いについて教えてください?
A.ソナム:夜這いは結婚とは別です。結婚とは関係ありません。自分の村や知っているところで知っている人と逢引をすることはあります。そのほかにたとえば仕事でどこか行く途中でキャンプをして、近くの村に女の子を探しに行くということもあります。
Q.女性は拒むことはありますか?
A.ソナム:自分は拒まれることはありません。子供ができた場合結婚することもありますし、賠償金、養育費を払う場合もあります。親の世代はアラ(お酒)、卵、バターなど渡していました。
Q.ブータンのHIVについて教えてください。
A.ソナム:去年、おととしと5ケースくらいありました。
Q.サムジョプサルの国境付近でHIVの看板を見ました。
A.ソナム:政府が宣伝していて、特にインドとの国境付近で感染者がでています。しかしこの村では心配ありません。
Q.ブータンでは女系家族で婿入りが主流と本で読みました。しかし、チモン村では違うようですがどうですか?
A.辻:女系か男系かというのはとてもむずかしいです。離婚した時にどちらが出ていくかっという問題があります。僕が今までブータンの色々なところで聞いたのは、男性が出ていかなくてはいけないということが圧倒的に多いです。
ソナム:場合によります。男性が問題を起こした時は男性が出て、女性が問題を起こした時は女性が出ていきます。
辻:よく行く村のケースでは、女の人ばかりで男の人がいない村があります。子供がいてわかれるときは旦那が外に出ていくので母子家庭ばかりになってしまいます。
Q.その場合どうやって子供を育てるのですか?
A.辻:一族で育てていきます。男性がいなくても女性だけで何でもやっています。
<チモン村の女性達に質問>
Q.どんな時幸せですか?
A.ペマ母:私は歌がうまくて、歌を歌っているときが一番幸せです。特に若いころは口を閉じているときがない位、常に歌を歌っていました。
若いときは死について考えていませんでした。私くらい歳をとると死ぬ準備をします。毎日マニ車を回し功徳を積み来世の準備をしています。それが私にとっての今の幸せです。
辻:これが幸せの秘密だと思います。
Q.同じ質問を違う女性に
A.ペマの兄弟:お客さんが来たときが一番幸せな時です。特に人が集まる時が一番楽しいです。最近は子供達も家からいなくなって夫婦しかいないし、大好きなお父さん、お母さんもお祈りが忙しくて人が集まってパーティー(宴会)することが少なくなってしましました。
みなさんと言葉が通じないことが残念です。自分は英語も日本語もできません。みなさんもチモン村の言葉ができません。

Q.殺生について西ではやらないと言っていましたが、東ではするのですか?
A.辻:殺生はします。今日食べた鳥もそうです。西側はないということにしています。
下條:ペマは「自分で殺したものを自分で食べなければよい」と言っていました。
辻:ここでは自分達で屠殺して食べます。西側では屠殺人がいたりインドから輸入したりすると言っています。もともとは西と東では違う文化です。それから仏教ではやらない生贄もありました。
Q.どういう生贄ですか?
A.辻:やぎなど動物です。
ペマ兄:12年ごとの儀式というものがあってそこでは豚を生贄にします。
辻:ボン教というものがあります。もともとはシャーマニズムでしたが仏教化したものです。今シャーマニズムはなくなりつつあります。政府もなるべく外にみせないようにしています。
ペマは近代化の最初の世代です。彼のちょっと下の世代から一斉に学校に行き始めました。彼は自分より若い人たちが「自分たちは学校に行ったんだぞ」と偉そうに帰ってくるのを見ていました。「ここにいて幸せだろ」とお父さんとお母さんは学校に行くことを反対しました。
幸せだけどこのままだと自分より若い連中に置いていかれるという思いで、家出をして学校に行きました。ペマの世代(40代後半)は古い世界と新しい世界の間にいます。シャーマニズムが消えていくというのは非常にまずいことだとペマはわかっています。ソナム(20代後半から30代前半)の世代になるとずいぶん違います。
ペマが時々おじいさんみたいなしゃべり方をしていることがあります。それだけ急速に変わってきています。
私と同じくらいの世代の村人が「昔はよかったよ」と話していました。まるで江戸時代の話みたいでした。「俺たちはあまり働かなかったな、とにかく時間が十分あって仕事をしなくても生きていけたよ。女の尻だけをおいかけていればよかったよ」と言っていました。その他、チモン村では「火の中にみかんの種や皮を入れるとみかんの木が乾燥してしまう」と言われています。
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