2014年10月26日

【コラム】尼僧院での瞑想と「しあわせ」考

みなさん、こんにちは!
9月にブータン西部を訪れたメンバーによる報告コラムを少しずつご紹介していきます。
本日は、中川久美子さんによる、プナカ・尼僧院訪問のコラムです。
ブータンに行く時間がとれなくても、感謝の気持ちをもって瞑想をする時間をもつことは
できそうですね。ぜひみなさんもトライしてみてください。
>>ツアー概要についてはこちら

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尼僧院での瞑想とインタビュー

中川久美子

 今回初めて訪れた尼僧院。名前や詳しい場所はわかりませんが、プナカの少し小高い見晴らしのよい丘のお上にあるこじんまりとしたお寺で、かわいらしいく美しいお寺でした。入り口を入るとチョルテンがあり、その周りをダルシンが取り囲んでいます。第4代国王の4人の王妃の父がスポンサーとなり、2010年に完成したドゥッパ・カギュ派に属しているお寺で、現在は103人の尼僧が暮らしています。ここでは、9年間の修行が行われ、最後に人のこない山の中の秘密の場所で、外界との接触を一切絶つ3年3ヶ月3週3日の瞑想に入ります。

 ここでは初めに辻先生のご指導により、みんなで瞑想を行いました。ブータンを何度も訪れていますが、瞑想したのは今回が初めてです。ヒマラヤからの心地よい風に吹かれながら、ブータンのお寺で行う瞑想は本当に心地よく、また自分の心をしっかりと見つめることができました。特に、辻先生が「自分を幸せにしてくれる全ての人に感謝して・・・」という言葉をかけられた時のことがとても印象に残っています。

友達、家族など大切な人のことが浮かんできて、なぜか涙が出ました。幸せな気持ち、感謝の気持ち、でもなぜか切ない気持ち・・・なんとも言い表せない感覚でした。「生きるとは、息をすること」という先生の言葉も、とても心に残っています。

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 その後、ここで暮らしている23〜30歳までの4人の尼僧からお話を聞きました。尼僧の一日の生活は、こんな感じです。

4:00起床⇒4:30〜6:30祈祷⇒お茶の時間⇒7:30〜11:30勉強⇒11:30〜13:00昼食⇒13:00〜15:00写経⇒15:30〜16:30夕食⇒17:00〜18:00仏教についてのディスカッション⇒18:00〜19:30祈祷⇒自習⇒22:00就寝(土曜日の半日と日曜日は休日)

この中では、ディスカッションの時間が一番楽しいと言っていました。食生活は一般の人と同じで、地域の人が初物を寄付してくれるようです。このお寺に入るのに年齢制限はありませんが、すぐに辞めた場合は30,000Nu(約53,400円)の罰金、ボーイフレンドが出来て辞めた場合は80,000Nu(約142,400円)の罰金を支払わなければいけません。おこずかいは月1,700Nuですが、そのうち1,000Nuは僧院へ支払うため、月700Nu(約1,250円)が自由になるお金です。

ここへ来た理由はそれぞれあるようですが、共通していたのは全ての生き物のために祈りたい、そういう全ての生き物と調和した生き方をしたいという思いを持っているということでした。私よりも若い女の子たちが、既にそういう志を持っているということにとても驚きました。それから、どの子も「今が一番幸せだ。」、「辛くなって逃げ出したいということはない」、「来世もまた尼僧になりたい」ということを言っていて、“幸せ”ってなんなのかなということを改めて考えさせられました。

日本はとても周りの目を気にする社会で、私たちはこう生きなければならない、これが幸せだ、というような強制観念にとらわれがちです。けれども、“幸せ”とはいつも心が穏やかで、自分の幸せを願ってくれる人がいて、また自分も周りの人の幸せを心から願うことができ、生かされているという実感と安心感を持てるということなのかなという気がしました。

「ガウ ランゲ ゾン ガゾ  チョンム ランゲ ロン ガロ(自分自身を幸せにしようが、不幸にしようが、自分次第である。)」最後に聞いたそんな言葉から、生きる道しるべを教えてもらったような気がしました。
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posted by GNH at 22:31| Comment(2) | 西ブータン
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