僕は、ペマのエコツアーでブータンを2度訪問しました。最初は2007年春、辻先生のご本などを通じて関心があったGNH(国民総幸福)を現地で肌で感じることが目的でした。ブータンは翌年の初の総選挙、憲法制定の準備の最中で、取材を通じて、前文に「国民の幸福追求」を謳い、平和と環境が幸福の礎になる、という憲法の精神にも触れることができました。2回目は翌年の総選挙の直後、民主化後のブータンを見るのが狙いでした。そのときは、「世界で一番幸せな村」というペマの生まれ故郷の話をじっくり聞き、また、会う人皆が「私は幸せ」と話すのに、なるほど、人々がこんな思いを抱いていることが正に幸せということなのだと実感したものです。
また、寺院に参拝する人に、「何を祈っているのですか」と尋ねると、これも皆が、嘘だろうと思うぐらい「みんなの幸せ」「世界の平和」と答えたのにもびっくり! 宮沢賢治の「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」(農民芸術概論綱要)という言葉を思い出し、お返しを期待しない無償の行いの心が結局報いになるのだということも教えられました。そのときの記事は、ヤフーなどで「いま幸せですか」で開くと、多分最初に登場します。
学んだことはまだまだたくさんあるし、風景や森の生き物と接するだけでも楽しいのですが、今回のツアーで、僕が個人的に最も注目しているのは、ブータンGNH研究所のカルマ・ウラ所長と会えることです。今回は僕は行けませんが、近いうちに是非会いたい人です。たまたまブータンのティンレー首相の話を日本で2度聞く機会がありましたが、そのGNH哲学には本当に心が打たれました。恐らく、ウラ所長のお話も素晴らしいと思います。ブータンツアーでは多分初めてと思いますし、同行できる方が羨ましい気がします。
皆さんもぜひ、冗談と知識と優しい笑顔あふれるペマが案内するブータンに行って、幸福な気持ちで帰国して、そしてGNHの心を共有しましょう。