2011年11月22日

人間の内面を高める〜SEMの取り組み

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■魂の教育運動(SEM)

SEMは、物質的側面や知識の蓄積に偏重している現代の教育に対する疑問から出発したもので、実践に結びつくようなプログラムを組み、運動として展開していくことで教育に魂を吹きこもうというものです。

現在タイの国内だけでも年間60〜70回行っているということでしたが、タイだけではなく、ラオス、ビルマ、カンボジアへの活動が広がり、例えば、ビルマでは、これから先グローバル化の波にさらされた時にタイのようにならないためにはどうしたよいか、という観点から地域社会のリーダーの育成にとりくんでいるそうです。また、政府や企業からの依頼で、上からの管理体制に代わる草の根からのアプローチについて研修プログラムを行うこともあり、タイ国内での活動の幅も広がっているようです。

紹介された活動の中には「いかに死ぬか」をテーマにしたユニークなものもありました。このプログラムでは、病院を訪問し死のプロセスに立ち会ったり、死者の書などの仏教的伝統から学んだりということをしているそうです。「死」への関心が高まっているのは、経済危機やスマトラ沖地震・津波の経験を通してタイの人々が生きる事の意味を問い直すようになってきたからではないか、ということです。

多様な活動をしているSEMですが、それはみな、身体的、精神的な面を含めての自己理解や、様々な社会問題と向きあるための社会の構造的理解の他、自然や他者との共存、独自に知識や理解を深めていくためのスキルの育成などの共通基盤をから考えられたものです。こうした要素を専門性ということにとらわれず包括的に扱っていることや社会的なニーズにもしっかり対応していることが、SEMの活動の特徴だと思います。

教育の抱える問題や人として生きることについては、日本でもタイと同様の課題があり、特に3.11をきっかけに様々な問い直しがされている中で、こうしたSEMの取り組みは、日本で必要とされている活動の具体例でもあると思います。

タイGNHツアー2011秋・参加者:宇野真介
posted by GNH at 10:15| Comment(0) | GNHツアー
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