2012年12月31日

プナカ県知事へのインタビュー

ブータンGNHツアー2012・春 報告集より>
プナカ県知事へのインタビュー(中川久美子)

プナカは、1955年にティンプーが通年首都になるまでの約300年間、ブータンの冬の首都でした。第1回の国会もここで開催され、プナカ・ゾンでは来日された現国王の結婚式が行われたことでも有名です。標高1,350mとティンプーに比べて1,000m以上も低く、気候は亜熱帯気候です。

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そんな歴史あるプナカの県知事にお話を伺うことができました。プナカに限ったことではないようですが、農業が主力の産業で、お米やマンゴー、グァバ、オレンジ、パパイヤ、バナナなどをティンプーへ出荷しているそうです。県知事として誇りに思っておられるところは、ブータンの歴史がプナカから始まったということで、プナカ・ゾンにはプナカを設立したンガワン・ナムゲルの遺体が安置されています。

県知事の発展についての考え方もGNHに基づいており、「世界の先進国や発展途上国が抱える問題を注意深く見つめつつ、みんなの幸せを追求していくこと、自分たちのためにやってくれていると県民が思うことをやっている」とおっしゃっていたのが印象的でした。

主要プロジェクトは、グリーンスクール、自然公園の設立です。まず、グリーンスクールのプロジェクトでは、環境教育に力を入れ、学びたい、行きたいと思えるような学校づくりを推進されています。立地については、交通量が少なく、十分な遊び場や農園が確保できるような場所が選ばれています。そして、教員のマネジメントについては、人間性を重視し、その上で「3つのH」に重点が置かれています。3つのHとは、Head、Heart、Handで、Headは環境保護を考える頭脳、Heartは環境保護への強い思い、Handはそれらを実践する手を表しています。

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現在の日本の若者は希望を持てない状況にあるが、それについてどう思うかという質問に対して知事は、ブータンもインターネットやテレビなどによる西洋の影響が大きく、そうなる可能性があるが、ブータンは民族衣装の着用やゾンカ語などの伝統文化に助けられている要素が大きいとおっしゃっていました。また、子育ても父母だけでなく、祖父母やみんなで育てることが当たり前で、子どもたちが自分たちのルーツやアイデンティティを見失うことがなく、伝統文化も継承されています。そして、大人たちが常々”You are future”という言葉をかけていることも大きいようです。また、ブータンの政治が安定しており、尊敬できる人が身の回りにいるということ、豊かな自然への畏敬の念ということが子どもたちの希望につながっているようです。

2つ目の自然公園の設立については、幸せは環境と深く関わりを持っているという考え方から、人々が自然公園へ足を運ぶことで幸せを感じられるようにと行われているものです。人々がお金儲けばかりに気をとられていると忙しくなり、公園へ足を運ぶ時間がなくなりますが、それは幸せとは言えないということのようです。

また、市民と協働して行政運営をしていくということも重要だとおっしゃっていました。県ではアイディアや技術、予算を提供するだけで、方針の多くは市にある小さな議会が考え、決定されています。前述した自然公園の管理についても、地域で決め、地域で行われています。


このように、ブータンでは時間や自然とのバランスが重視されており、何かを選ぶときにどちらかに偏らないように心がけられています。なぜなら、偏るということは、誰かの幸せを害することにつながると考えられているからです。そして、自分以外の人の幸せを願う、周りの人や年上の人を敬うということが、生き方の根底にあります。政治と宗教、人々が一体となり、GNHに基づく考え方が国中に浸透しているのだと感じました。それが、日本の行政との大きな違いであり、日本が見習うべきところだと思いました。

◆◆ 現在、2013年春、ブータンGNHツアー募集中。今回もプナカにも訪れる予定です! ◆◆
posted by GNH at 21:03| Comment(0) | GNHツアー
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