2013年08月09日

ペマ父の憂い~開発の恩恵と文化衰退

チモン村2日目の夜。みんなで楽しく踊り解散後火を囲みペマのお父さんに、お父さんの本音の部分を聞くことができました。

ペマ父:文化は教育を受けているからなくならないと政府は言っています。しかし、開発を進めている一方で文化を守るという声は出てきません。教育を受けている若者たちは先輩やお客様たちに対する敬意が欠けています。文化は存続していくと思っていたけど、それを見ていると現状はかなり厳しいです。

例えば今も文化の存続とうたっているけど、何があるのか。ゴを着ているとかキラを着ていることだけではないか。今の政治家はみんな若いし国王も若くて昔と今を比べたら大きな違いを感じざるを得ない。私は危険を察知している。非常に危険な状況である。しかし、きっとすべてはうまくいくだろう。

私は2代目の国王の時から知っている。その時と比べると変わってしまった。例えば、男と女は男はこういう風に行動する。女はこういう風であるべきだと昔ははっきりしていた。ゴとキラは当然だけど、髪の毛も女性は今よりずっと短い髪の毛をしていた。男もさらに短い髪型をしていた。

男は常に3つのものを持っていた。その3つとは、ナイフ、一枚の布、カップ(杯)です。ナイフは敵を退治する男の勇気を表しています。カップは誰かが友人である印に飲み物をくれたときにそれを受け取って飲むときに使います。布は誰かが食べ物をくれたとき布を出してそれを受け取るために使います。その3つは男である要素を示しています。しかしそういうものも失ってしまいました。

女性が髪を長くするというのは当然としても、なんと最近は男でも女以上に髪を長くしています。こういうのを見ると時代も変わってかつてのブータン人としてのアイデンティティが失われていると言わざるを得ません。

辻:昔よりいいことは何かありますか?

ペマ父:昔より良いことは電気と道路です。電気が来ることによって夜も昼のように明るく色々なことができます。私は早く生まれすぎましたかもしれません。しかし、過去と未来が両方見られる時代に生まれたことは幸せです。

あなた達に会えたことも開発のおかげです。私はあなた達に会えてとても幸せです。私だけではありません。村人みんなが幸せに思っています。しかしその開発が私たちの伝統を損なっているのかもしれません。だから、私は混乱しています。我々は大事なことを忘れてしまっているかもしれない。私は混乱していますが、とにかく今晩あなた達と一緒にこうしていられることを幸せに思っています。

私はあなた方がどういうところに住んでいてどういう場所に所属する人か私は十分に想像することはできません。私がブータンの近隣に行くにもすごく時間がかかるのにあなた達は聞くところによると飛行機というものでやってきたと聞きます。私にはそれもわかりません。この出会いは神様が望まれたとしか思えません。いったいいくつの国を越えてやってきたのか。大変な苦労して困難を越えてここに来られたのだろう。そのことにわたしは敬意を表したいです。


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posted by GNH at 18:00| Comment(0) | 東ブータン
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