2015年06月09日

9月、西部ブータンへの「ゆっくりの思想」を学ぶ旅、募集開始!

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★☆☆★★  ブータンGNHツアー2015秋  ★☆☆★★
 ★★☆☆★ 「ゆっくりの思想」を学ぶ旅  ★★☆☆★


本当の「豊かさ」「幸せ」って何だろう?
HappinessのHを豊かさのモノサシに掲げ、 「懐かしい未来」を先取りしている国、ブータンにそのヒントを探しに出かけませんか?

ナマケモノ教授こと辻信一さんとも現地で合流。岐路に立つブータンの今や、GNH(国民総幸福)思想について、わかりやすく解説していただきます。

ブータン時間に身を委ね、現地の人、自然、地域の文化に学ぶエコロジーでスピリチュアルな旅。まるごと(ホリスティック)な価値観を育む旅へ!

<見どころ>
▼美しい棚田が広がるプナカ県でのファームステイ
▼ブータン一の霊場・タクツァン僧院トレッキング
▼伝統治療院、GNH委員会などのインタビュー

詳しい日程はこちら

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posted by GNH at 20:27| 西ブータン

2014年11月20日

【コラム】私にとっての懐かしい未来「ブータン」

ナマケモノ倶楽部がGNHツアーと銘打って、「豊かさ」の問い直しを参加者のみなさんと一緒に考える参加型のツアーをはじめて7年。ツアー参加者は10代の学生さんから80代のシニアまで、バックグラウンドも会社をやめた方、ふだんから自然農などに携わっている方、忙しい中なんとか有給をとって参加した方、ご夫婦での記念の旅行に、卒論でGNHを深く知りたいなど様々。

一緒に一度はブータンへ・・と思っている方も多いかもしれませんが、意外とリピーターが多いのもナマクラGNHツアーの特徴です。西部に行った方は東部へ。東部を先に訪れた方は、次は西部も。。そして、同じ西部ブータンでも、ツアーで行くのと個人でペマさんに旅程をオーガナイズするのでは旅の自由度はまったく異なります!

今回は、ツアーで2回、個人で2回ブータンを訪れている中川さんからのコラムを紹介します!訪れた人の心に問いかけるブータン。私たちのDNAが覚えている「何か」を呼び覚ましてくれるかもしれません。

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私にとっての懐かしい未来「ブータン」

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中川久美子(ブータンGNHツアー2014秋参加者)

 4回目となったブータンへの旅。最初にブータンを訪れたのは2年前の秋のことです。もともとチベット仏教に興味があり、ブータンがチベット仏教を国境とする唯一の国だということを知って行ってみたいと思っていたところ、「ブータンGNHツアー」をフェイスブックで見つけました。

途上国と呼ばれる国に行くのは、ブータンが初めて。ドゥルックエアーに乗り込んだときのドキドキ感、初めて飛行機から見たヒマラヤの山々の頂、不思議な伝統様式の建物が立ち並ぶパロ国際空港に降り立ったときは期待と同時に不安でいっぱいでもありました。でも、山に囲まれ、豊かな水と田園風景が広がっているブータンは、私のまちにもどこか似ていて、なんだか懐かしいような安心する風景でもあり、帰りの空港ではまた必ず戻ってくるだろうと思っている自分がいました。

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いたるところでルンタやダルシンが風にはためき、チベット仏教一色に彩られた街並み、その信仰を基盤とした社会、笑みを浮かべ優しくおおらかでたくましいブータンの人たち。普段、とても忙しく、ギスギスした人間関係の中でストレスまみれになりながら暮らしていた私にとって、価値観が180度変わってしまうような旅だったことを覚えています。

その後、ブータンの本を読んだり、何回か訪れる中で初めて訪れたときとはまた違った顔を見たり、そして今回の旅でさらに深くブータンを知ることができたような気がしています。

 私にとって、ブータンは既に第二の故郷のような存在であり、空港に着くと「あぁ、また帰ってきたなぁ」といった感覚の方が強くなりました。何度も訪れているということもありますが、それ以外に全く違う国であるのに共通点が多いということもあります。

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国土のほとんどが2,000m以上の高地にありながら熱帯であるため日本のように四季があり、シャクナゲやムクゲなど日本で見られる花も咲きます。日本人が農業指導をしたこともあって、大量のトウガラシを除けば市場には日本と同じような野菜が並び、主食はご飯、米や麦などを使った焼酎のような「アラ」と呼ばれるお酒と、食生活も似ています。

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美しい棚田、ソバ畑、ヒマラヤの山々から流れてくる豊かな川、木造の家屋、農家で飼われている牛やニワトリなど、日本の原風景を思わせます。民族衣装の「ゴ」や「キラ」も日本の着物にどこか似ていて、顔立ちも似ているので日本人が着てもあまり違和感がありません(タクツァンにキラで行くと、ブータン人と間違われることも(笑))。他にも例を挙げればきりがないくらいです。

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ブータンでは自然がとても大事にされていると同時に、神聖なものだとされていますが、仏教と土着神が融合した独自の仏教を育んできたというところも共通していて、似ている自然環境や信仰に育まれた生活文化や人に共通点が多くなるのも不思議ではないのかもしれません。

私自身、山岳信仰の山であった山の麓で暮らしていると山に手を合わせることもあり、自然の中にいると心地よく心穏やかになれるし、自然に生かされている、自分も自然の一部であると日々感じていて、ブータンは遠い異国でありながら、なぜか懐かしく、ほっとする国です。ちなみに、日本人のルーツはいくつかあり、その一つにブータン方面からのルートもあったそうです。私、遠い前世はブータン人だったのかな!?(笑)

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 そんな共通点のたくさんある日本とブータンですが、ブータンには日本が失ってしまったものが残されていると感じます。チベット仏教に基づく生きとし生けるものへの祈りの心、伝統文化への誇り、人と人とのつながりという安心感、それらがもたらす揺るぎない自信。その中で、それぞれがそれぞれの幸せを感じて生きている。先進国では、物質的な豊かさの先には本当の幸せはなかったという現実が見えはじめている中で、私たちが捨ててきてしまったものの中に幸せに結びつくものもあったんだなということを痛感しています。

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<タクツァン僧院のシャクナゲ>


この国に来ると、「幸せとは何か」ということについて、本当に深く考えさせられます。きっと、そのヒントがたくさんあるんだと思うし、私自身ブータンで過ごすことで自分の心に変化が起き、どんどん自分がシンプルになっていくような気がしています。私はまた近い未来にブータンに来てるだろうなっ!

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 GNHというユニークな考え方で世界中に知られるようになったブータンですが、一概に「幸せの国」ということでもなく、日本には日本の課題や問題があるのと同じで、ブータンにはブータンの課題や問題があり、結局のところ課題や問題のない完璧な国はないということなのかなと思います。それと、先進国と呼ばれている私たちのような国が、こういった国々に及ぼしている影響も大きく、私たちがどうあるべきかとうことも考えさせられました。

GNHという今までどの国もやってこなかったような考え方で国政を進めようとしているブータンは、その意味では先進的な国であり、グローバル化が進む世界の中で、今後どのような国になっていくのか、とても興味があります。できれば、他の途上国が辿ったような西洋化・グローバル化の方向ではなく、独自の路線で懐かしい未来を世界に示し続けてくれることを願っています。そして、物質だけに偏らず、自然や文化・伝統、心とのバランスのとれた社会が、世界中に広がればと思います。
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タグ:中川久美子
posted by GNH at 23:07| Comment(0) | 西ブータン

【コラム】昭和20年代の暮らしを想起させたドチュカ村でのホームステイ


ブータンGNHツアーでは、毎回ホームステイを組み込むようにしています。それは、本やテレビとは異なり、ふつうのブータンの人の暮らしを、リアルに体験させていただくことができる貴重な機会だからです。言葉はゾンカ語(東部だとシャショーップ語)と英語が入り交り、ボディーランゲージの世界。滞在させていただいた家族の数だけそれぞれのエピソードが生まれます。今回は、中川久美子さんからの報告です!


ドチュカ村でのホームステイ

中川久美子(2014ブータンGNHツアー秋参加者)

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 ツアーで楽しみにしていたのが、農家でのホームステイでした。今回で2回目になりますが、前回は不安ばかりが先立っていたこともあり、あまり楽しめませんでした。でも、今回はトイレ以外は特に不安はなく(前回は青空トイレだったので、衝撃的でした(笑))、有意義な時間を過ごすことができました。

 ドチュカ村は前回ステイしたイェベサ村とは違い、車道から近いところに村がありました。村に着くと、村人がみんなで出迎えてくれ、それぞれホストファミリーと共に、舗装されていない田んぼ道を歩いて村の中へと向かいました。私は有機トウガラシ農家の家に、他のメンバー2人と一緒にステイさせてもらうことになりました。家は伝統的なブータンの木造の家で、1階が家畜や家畜のエサなどを置いておくところ、2階が住居になっています。窓はありますが、ガラスのサッシなどでなく、木の扉があるだけです。

くつを脱いで家に入るのは、日本と同じです。炊事場は、薪で炊くかまども外にありましたが、家の中はガスコンロでした。トイレは共同トイレで外にあり、手動の水洗トイレといった感じ(水瓶の水をバケツですくって流すタイプ)で電気もあり、今回は青空トイレではなく少しホッとしたり(笑)。お風呂はおそらくなく(1泊だけで入浴していないのでわかりません。)、他のメンバーが共同の水道で髪を洗っている女性を見たと言っていたので、水道などで洗うのかなといった感じでした。

子どもたちが少し英語を話せる(学校での授業が英語であるため)以外は、現地の言葉であるゾンカ語での会話になるのではっきりとはわからなかったのですが、おそらくお父さん、お母さん、中学生ぐらいの男の子、小学生2年生の女の子、5歳ぐらいの男の子といった家族構成でした。お客さんは、日本では座敷へ案内するのと同じで、家の中でも手入れの行き届いている仏間でということのようで、家に着くと私たちも家の仏間に案内され、絞りたてのミルクにビスケットと米菓子、フルーツでもてなしていただきました。

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食事はもちろんトウガラシをふんだんに使った料理で、朝も夜も4〜5種類ぐらいのおかずが並び、ご飯といただきました。机などはなく、直に床にお皿を置き、床に座って食べます。私は、絞りたてのミルクと、朝食の採れたて卵のスクランブルエッグのようなものがとても美味しかったことを覚えています。朝からかなりのボリュームで、ブータンの方はご飯をたくさん食べます。

 ホームステイで感じたことは、きっと昭和20〜30年代ぐらいの日本もこんな感じだったんだろうなぁーということです。ここ数年、仕事などで昔の暮らしについて調べたり、年配の方にお話を伺ったりする機会が多いので、その話とこの村での暮らしが、とてもぴったりと重なるような感じがしました。今までは耳で聞いていた話を、実際に自分で体感しているような感覚です。(農村でも、みんな携帯電話を持っているというところは、少し違いますが。)

私たちは日本の便利でとても衛生的な暮らしに慣れているので、やはり抵抗がある部分もありますが、ここでの暮らしも慣れてしまえば普通になるのかなとも思いました。実際、こういったところを旅するにつれ、だんだんと抵抗がなくなってきて、逆に心地よく感じる部分もあります。ブータンを旅していると、日本で暮らしているときのような何か余裕のない切羽詰まった感じや、こうしなければというのがなく、心が穏やかになるせいでしょうか。

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 さて、ホームステイで一番楽しかったことといえば、子どもたちとたくさん遊んだことです。ステイ先の子どもだけでなく、近所からも子どもたちが集まってきて、折り紙大会、切り絵大会になりました。折り紙を折って見せると、もっと折ってという子、折り方を教えてという子、また切り絵を自分で始める子などなど、お互いの未熟な英語で全ては通じないけれども、とても人懐っこく素直な子どもたちばかりでした。それもやはりこの国の、そして村の風土が育んでいるのかなと思いました。楽しい遊びには時間を忘れて夢中になる。そういうところは日本の子どもたちと何も変わらないし、やはり日本の子どもたちも根っ子の部分はとても素直で、子どもは世界共通だなぁーとも思いました。

子どもたちに、将来は何になりたいかという質問をしたところ、子どもたちはパイロット、先生、歌手などという答えが返ってきました。農業以外の選択肢ができ、ただそういった仕事に就けるのは現状ではわずかな人たちだと思うので、この先、子どもたちの人生がどうなっていくのか、少し心配にもなりました。同時に、農業も大切にしてくれるといいなとも思いました。

何はともあれ、こうやって子どもたちを関わっている時間は私にとってはとても楽しく、これこそが自分の人生をかけて取り組むことなんじゃないかと強く思いました。そして、このホームステイを通して、「本当に豊かな暮らしとは何か」ということを改めて考えさせられました。
posted by GNH at 23:03| Comment(0) | 西ブータン